Les gens perdus 〜終点〜 - 第一章
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06
奏太が戻った後、すぐに依頼人が訪ねてきた。事務員の飛鳥は、所長が喫茶店のマスターからもらったというコーヒーを淹れ、それを客人の前に差し出した。

小さな探偵事務所を訪れてきたのは、佐々木伸宏(ノブヒロ)、28歳。有名旅行ガイドで三ツ星がつくほどの一流ホテルに勤めており、その身だしなみは綺麗に決まっており、奏太はそのプロフィールを本人から聞いただけで、少し劣等感を感じた。

「そんな方が、なぜうちの事務所を?」

彼のような人物なら大手の探偵事務所に依頼することもできたはず。従業員数2名弱の小さな町の事務所までわざわざ来た理由が知りたかった。

「実は、探してほしい人がいて。あまり表立って探すことが出来ないので、こちらに」
「そうでしたか。どのような方でしょう?」

個人情報保護や守秘義務の観点から、他の事務所でも情報が漏れることはないはずだが、それでも細心の注意を図ってのことだと、奏太は相手の口調から察した。

「学生の頃、付き合っていた彼女なんです」

依頼人は右腕につけたブレスレットを見つめながら、馴れ初めを語りだした。
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■筆者メッセージ
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黒瀬リュウ ( 2019/02/07(木) 15:40 )