Les gens perdus 〜終点〜
第一章
02
青年は落ちた衝撃で痛めた腰を擦りながら、警察署を後にした。事情を分かりやすく説明し、署内に知り合いの警察官がいたため、なんとか厳重注意という処分だけで済むことができた。

「ったく、相変わらずお騒がせなやつだな」
「うるさいよ。こっちだって好きにやってる訳じゃないんだよ」

青年と共に署内から出てきたのは、青柳康介巡査。青年とは古くからの付き合いで、戦友でもあり親友でもあった。

「ちゃんと家賃払えよ、いっつもこんなことになるんだったらさ」
「仕方ないだろ、先月は依頼が一件も無かったんだからよ」
「ちゃんと働かないと。お前だって親父さんから引き継いだ事務所、潰したくないだろ?」

康介からの言葉に青年は何も言い返すことができなかった。

「なあ、そんなことよりさ。飛鳥さん、元気か…?」
「えっ?ああ、元気なんじゃないの?」
「今度さ、お食事に誘おうと思うんだけど、何の料理が好きか、お前の方からサラッと聞いといてくれよ」
「はあ?なんで俺が」
「いつも仕事で一緒にいるんだろ…?だったら頼むよ」
「そういうのは自分で聞け」

冷たく言い放った青年は、ジャケットのポケットに手を突っ込んだまま、先程通報された建物へと向かっていった。

黒瀬リュウ ( 2019/01/28(月) 00:52 )