第一章:Beginning(始まり)
02
 4年後。
 研修終了後、大阪地検で働いていた沖田は、かねてより念願だった東京の検察庁本部刑事部へと異動が決まった。
 出勤初日、黒のバックパックを背負い、足早に歩く。心なしか足取りが軽く感じられた。

「沖田」

 ふと振り返ると、同期の松永と古畑と再会した。彼らとは研修期間以来であった。

「よう、久しぶり」
「聞いたよ、今日から刑事部だって?」
「さすがエリート街道に乗り込んだ人は足取りも軽いわね」
「まあ結果を出し続けてるからね」

 自信満々に答えた沖田に、古畑は苦笑いを浮かべた。

「うーわ、すっごい嫌み」
「その自信がどこまで続くのやら」
「どこまでも続くさ」

 時同じくして、庁舎前ではボランティアで集まった人々が高齢者運転の禁止を求める署名活動を行っていた。
 検察事務官である宮脇咲良は道中、一人の女性に呼び止められた。頼まれたら断れない性格の彼女は、渋々署名をしていると、同僚の高橋朱里に声をかけられた。

「咲良」
「あっ、おはよう」
「おはよう。刑事部初出勤の朝は、署名活動ですか」
「仕方ないよ、これは」
「一応アドバイスしておくけど、刑事部のパワハラは陰湿、セクハラは常習らしいからね。一言でも文句言ったら、周りから白い目で見られて居づらくなるから、辞めるんだったら今だよ」

 冗談交じりで怖いことを言ってくる彼女に、宮脇は苦笑いを浮かべながら、共に検察庁庁舎へと向かった。

■筆者メッセージ
ひとまず安定のメンバーから。
さて、誰を出していこうか。

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黒瀬リュウ ( 2018/10/09(火) 00:52 )