04
俊哉と太輔は同じバスケ部に所属していた。
太輔は部を代表するエースで一年の頃からレギュラーの座を勝ち取り、大きな大会にも何度も出場していた。
その反面、俊哉は三年になった今でもなかなかレギュラーに抜擢されることはなく、基本的には雑用がメインだった。
「太輔、お疲れ様」
練習試合を終え、ベンチに座って汗を拭っていた彼にタオルとスポーツドリンクを届けた。
「おう、ありがとう、俊哉」
「相変わらずすごいな、お前のプレー」
「そんなことねえよ」
だが、幼馴染に褒められた彼はどこか嬉しそうに笑いながら、ドリンクを口にした。
「今日も見てたぞ、りか姫とラブラブなことで」
「別に、中井とはそういうんじゃないから」
「付き合えばいいのに。向こうは明らかにお前のことが好きだぜ?」
「お前までそんなこと言う」
「だって、本当にお似合いだし。二人」
「まあ、考えておくよ」
そういって再び立ち上がった太輔は、ボールを手に取ると、ゴール下までドリブルをつきながら走っていき、レイアップシュートを軽々決めた。