第一章『絶対命令』
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俊哉と太輔は同じバスケ部に所属していた。

太輔は部を代表するエースで一年の頃からレギュラーの座を勝ち取り、大きな大会にも何度も出場していた。

その反面、俊哉は三年になった今でもなかなかレギュラーに抜擢されることはなく、基本的には雑用がメインだった。


「太輔、お疲れ様」


練習試合を終え、ベンチに座って汗を拭っていた彼にタオルとスポーツドリンクを届けた。


「おう、ありがとう、俊哉」

「相変わらずすごいな、お前のプレー」

「そんなことねえよ」


だが、幼馴染に褒められた彼はどこか嬉しそうに笑いながら、ドリンクを口にした。


「今日も見てたぞ、りか姫とラブラブなことで」

「別に、中井とはそういうんじゃないから」

「付き合えばいいのに。向こうは明らかにお前のことが好きだぜ?」

「お前までそんなこと言う」

「だって、本当にお似合いだし。二人」

「まあ、考えておくよ」


そういって再び立ち上がった太輔は、ボールを手に取ると、ゴール下までドリブルをつきながら走っていき、レイアップシュートを軽々決めた。

黒瀬リュウ ( 2017/06/25(日) 12:14 )