22
村田は学校が終わると、部活にも顔を出すことなく、校舎を後にした。
荻野がヒエラルキーの頂点に立ってからというもの、彼の学校生活は非常に充実したものに変わっていた。
しかし、何かが足りていなかった。地位を手に入れた。これまで以上に彼の生活は豊かなものになる。だが心の中にぽっかりと空いた穴は、なかなか埋まることがなかった。
その穴を埋めるために、彼はいつもの地下室へと向かった。
「もっとぉ・・・、もっとおちんぽちょぉだぁい・・・」
白目をむいて、みっともない姿でたくさんの男たちに抱かれている彼女の姿を見ることは、彼の優越感を激しく刺激していた。
しかしそれでも彼の心の空白は埋まらなかった。なぜ埋まらないのか、何が自分には足らないのか、それが分からない自分に腹が立ち、その怒りを収めるべく、服を脱ぎ捨て、もはや精液便所と化した彼女の体を何度も抱いた。
その夜、とある病室では、酸素マスクや様々な生命維持装置を取り付けられていた、一人の青年の目がゆっくりと開かれたのであった。