15
放課後になり、中井はいつもの帰り道を一人で歩いていた。
いつも傍にいたはずの二人は今日からいない。
これからは一人で過ごさなくてはならないという恐怖と寂しさが入り混じった感情が、彼女を襲い掛かっていた。
すると道の先に誰かが立っているのが見えた。明らかにこちらをに体を向け、自分のことを待っているかのようだった。
徐々に近づくにつれ、その顔がはっきり見えてきた。
特に気にも留めていなかった男、村田俊哉だった。
「アンタ、どうして・・・」
「姫が一人で帰ってるって聞いて。荻野さんと中村さんは?」
「知らない。あんな二人のことなんて」
「もしかして、喧嘩でもした?」
そう言われ、顔を上げたとき、彼の暖かいまなざしが、彼女の心に染み入るようだった。
彼にならすべてを話せるかもしれない。ふと、彼女の頭にその言葉がよぎっていた。