14
その言葉はクラスだけでなく、学校中に張り紙がされているようだった。
どこに行っても誰からも軽蔑と好機が混じった眼差しを向けられた中井は、居辛さを感じ、保健室に逃げ込んだ。
お腹が痛いなどと適当な嘘をついて、窓側のベッドに潜っていると、聞き覚えのある声が近づいてきた。
「本当によかったの、あんなことバラしちゃって」
顔を上げてみると、窓側にいつも中井のそばにいる荻野と中村がいた。
彼女たちは何をバラしたのだろうか。気になった中井は聞き耳を立てていた。
「いいの。どうせ、りかはもう終わりだから」
「でもこれからどうすんの。誰が頂点に立つのよ」
「私たちが立てばいいのよ」
そっかと笑顔で話す彼女たちの姿を見て、中井は失意のどん底に突き落とされていた。
ずっと仲良しだと思っていた彼女たちにヒエラルキーの順位をひっくり返されたのだ。
恐らく噂はあっという間に広がり、自分は最下層の人間になってしまうのだろう。
それを考えただけで、恐怖の気持ちが湧き上がり、彼女は毛布でその身を隠した。