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如何にしたら彼女を地獄に突き落とせるか。俊哉はそればかりを考えていた。
彼女にも泰助と同じ苦しみ、いやそれ以上の苦しみを味わわせるのだと。
「りか姫の秘密?」
取り巻きの一人である中村歩加に尋ねた。
なぜそんなことを聞くのかと不振がられたが、彼女を守る親衛隊の一人として、何か漏れてはいけない秘密でもあれば、自分も把握しておいたほうがよいと思ったからと説明すると、納得したように頷いた。
「ここだけの話なんだけどね、最近女子の間で援交が流行ってたでしょ?」
「えっ、そうなの?」
知らなかった。そもそもそんなのが流行りなど、世も末だと思ったが、もともと低ランク層に所属していた俊哉にとって、そんなこと知るはずもなかった。
「あれ、もともとりかがやりだしたんだけど、なんか飽きたとかいって終わったらしいのね。それでうちらのあいだでも援交の流行りは終わったんだけど、どうやらりか、まだやってるらしいの、援交」
「どうして?」
「わかんない。けどなんか、りか、最近家に全然帰ってないんだって」
これはいいことを聞いた。俊哉はふうんと中村の言葉に相槌を打ちながら、気づかれないように口角を少し上げた。