第三章:夏の始まり
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 翌日、二日酔いで頭を悩ませながらも栄介は出版社へ足を運ばせていた。
 横山由依、向井竜三、井上章一たちとの同居が半ば強引ながら決まったわけだが、大人四人が集まったのだ。当然、必要となってくるのは金である。
 だが栄介が日頃描いているような漫画では全く金にならない。そこで編集長の深瀬に頭を下げに来たのだ。
 応接間に通された栄介は、外回りに出ている編集長の帰りを待っていた。

「なんだ、村岡君か。なに、どうしたの今日は」

 いきなり現れたと思ったら、あからさまにがっかりとした顔をされ、仕舞いには目の前で煙草を咥えられた。
 だがそんな態度に文句をつけられる状態ではないため、栄介は手短に用件を伝えた。

「あの、先日お話しいただいた梶川先生原作のやつ。描かせていただけないかなと思いまして」

 栄介の予想では深瀬がこちらの両手を握って喜んでくれる。そんなイメージだった。だが、彼がしてきたのは怒りに近しい「何を言ってるんだ、この男は」というような表情であった。

「あのね、あんないい話、いつまでもあると思ってんの?もう他の人に頼んだよ」
「えっ・・・」
「君、いつもタイミングが悪いんだよな。今更言われたってどうしようにもならないよ」
「そこを何とか。実はちょっとお金が必要で・・・」
「また前借りする気?もうしないよ。第一、漫画描かない人に金を貸せるほど、うちも余裕無いの」

 だがここで引き下がってしまったら、金を工面することはできない。どうにかして仕事を得たいと栄介は彼に泣きついた。

「あの、ちょっと、“同居人”が出来まして・・・」
「同居人?ああ、女?」
「いえいえ、違います」

 由依は女性だから違うことはないのだが、そこを説明すると面倒なことになりそうだったため、黙っておくことにした。

「ふぅん、まあ日銭がほしいんだったら、宛がないことでもないけど。それでもいいんだったらやる?」

 彼の問いかけに栄介は二つ返事で即答した。

「やります。やらせてください!」

■筆者メッセージ
予想してた電池残量不足に悩まされながら、ポケモンを次々に捕獲している黒瀬です。

あっつい夏がいよいよ始まったって感じですけど、皆さんはどうお過ごしですか?
私は何事もなく、ガンガンについた冷房の下、平凡な日常を過ごしております(笑)
熱中症などには気を付けて、水分補給などしっかり心がけてくださいね。

作品に関するご意見やご感想、その他等々のコメントお待ちしております。
黒瀬リュウ ( 2016/07/27(水) 12:56 )