第二章:夏の前の梅雨
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 酒を買いに、部屋を出て階段を下りていくと、水たまりの近くに野良犬が一匹座っていた。ここらではその犬のことを「ノラ公」と呼び、たまにしか現れない彼(もしくは彼女)に慣れ親しんでそう名付けていた。
 栄介もそのうちの一人で、ノラ公を見つけた彼はその場にしゃがみ込み、犬の首を撫でた。

「ノラ公、元気だったか?ちょっと痩せたんじゃないの?」

 そう言いながら撫でていると、大きなキャペリンハットを被った女性がゆっくりと彼に近づいて、そっと後ろに立つと、彼女は栄介に声をかけた。

「村岡さん」

 その声を聞いて、慌てて振り向くと、やはりそこには見覚えのある女性が立っていた。

「麻衣ちゃん・・・?」

 以前見た彼女とは少し、いや全くと言っていいほど雰囲気が違っていて、高級感漂うワンピースに大きなキャペリンハットを被っていたのは、栄介の元恋人でもある白石麻衣だった。

「お久しぶり」

 よく見ると、綺麗に化粧までしている。今まで見たことない彼女の姿に栄介は少し口を開かせていた。

■筆者メッセージ
そうです、まいやんです。
すごく品のあるかっこかわいい女の人はだれがいいかなと思った時に、乃木坂の子にしようと思って
今回は彼女にさせていただきました。
マドンナ的存在としてイメージしていただけたらなと思っています。

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黒瀬リュウ ( 2016/07/22(金) 15:03 )