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警察からの呼び出しなど今まで受けたことなかったため、栄介は少し驚いたが、とりあえずびしょ濡れになっている由依に着替えてもらい、雨が降っている中、一つしかない傘に二人で入って駅へと向かった。
「やっぱり、あの一件がバレたんじゃ・・・。駅員騙して救急車呼んで、あれは立派な詐欺罪だ・・・!」
「ごちゃごちゃ言っても、しょうがないでしょ。“身元引受人”で来てくれって言われてるんだから、行くしかないですよ」
動揺している由依をよそに、栄介は駅員に新宿までの切符を頼んだ。
列車の中でも由依はずっとそわそわしていたが、栄介も内心は彼女と同じように動揺していた。いったいなぜ自分が警察に呼ばれたのか。そしていったい誰の身元を引き受けろというのか。
そして到着した新宿署。そこにいた人物を見て、栄介と由依は愕然とした。
「何やってるんですか・・・、向井さん・・・」
相変わらずのボサボサ頭に眼鏡をかけた彼は、恥ずかしそうに髪を掻いていた。