極楽鳥
筆者 : 楓
/
種別 : 長編 (ページ容量 : 340.5KB)
投稿日 : 2014/02/14(金) 20:15
/
更新日 : 2015/10/01(木) 02:03
|
「よく自分の手伝いをしてくれていました。成績もよく、他の同級生の勉強を見てあげるなど、面倒見もよかったです。 それがあんなことをするなんて……未だ信じられません。 どうして彼があんなことをしたのか皆目見当がつかないです。でも一つだけ言えるとすれば、彼がそんなことをする人間では決してないということです。 何かの間違いであってほしい。そう切に願っています」 社会科教諭・秋山祐介さん(28)の談話 |
「小嶋君は誰からも好かれる人柄でした。 イケメンで、それでいて性格がよくて……。まるでおとぎの国から出て来たみたいでした。 だから女の子の間では常に話題になっていて、みんな正直言って狙っていたんじゃないかな? それがまさかあんなことを起こすなんて……。 夢であってほしいです。小嶋君が学校に来なくなるなんて、信じられません……」 同級生・M.Mさん(17)の談話 |
「先輩がそんなことをするなんてありえません……。ちょっと女の子にだらしがない部分もあったけど、先輩はいつだって優しくて……私に勉強を教えてくれたんですよ。 だから私は退学をしなくて済んだのに……。 私の頭じゃ難しいことは分かりません。 だから先輩に会いたいです。会ってどうしてそんなことをしたのか、本人の口から聞きたいです……」 後輩・A.Mさん(16)の談話 |
「翼君とは同じコンビニでアルバイトをしていました。 よく週末に一緒のシフトが多かったのですが、真面目で責任感のある子でした。 母子家庭とは聞いていましたけど、翼君は真っ直ぐな人柄でお客さんからも人気があったように思います。このお店で働いている人たちは彼が嫌いな人なんていないんじゃないかな? まだ高校生でしたけど、それくらい出来た子でした。 それがあんなことを起こすなんて……。人間不信になりそうです……」 専門学生・K.Yさん(19)の談話 |
「小嶋ですか? 真面目に働いてくれましたよ。母子家庭で苦労していたようですけど、それを表に出すことはしませんでしたね。 早く母親を楽させてやりたいってよく言っていました。今どき珍しい子じゃないですかね? それがあんな事件を起こすなんてね。人の心は分からないもんですよ、本当に」 コンビニ店オーナー・H.Aさん(41)の談話 |
「私の受け持ちの子ではありませんでしたが、それでも彼がとても真面目で優秀な生徒だということは聞いています。 女性関係に関しては優柔不断なところもあったようですが、それでも特に問題視するようなことは起こしていませんでした。 今回、こんな状況になってしまい、私が受け持つクラスの子たちにも衝撃が走っています。年頃の生徒ゆえ、心のケアにより一層の注意を払っていかなくてはなりません」 国語科教諭・永尾まりやさん(26)の談話 |
「階段で滑ってしまい、保健室に連れて込まれた彼は足を捻挫していました。 治療を施しながら彼と会話をしましたが、とても好青年で、まさかそんなようなことをする子には到底見えませんでした。 どうして彼の心に抱えた闇に気付いてあげられなかったのか。悔やんでも悔やみきれません……」 養護教諭・柴田阿弥さん(25)の談話 |
「保健室でたまたま会いました。一学年下で、名前は聞いたことがありました。有名人でしたからね、彼は。 え? なぜかって? それは彼がイケメンだったからですよ。私のクラスでも狙っている生徒は何人か知っています。実際に告白をしたっていう子もいたようですし。 私もちょっとはいいかもって思ったり思わなかったり……。 あっ、これはなしにしてください」 先輩・K.Iさん(18)の談話 |
「一度娘が我が家に招待をし、夕食を食べてもらいました。 娘の好きな物を買って来てくれ、話している限りとても好青年な子だと思っていました。子供の母親として、ああいう子と付き合ってもらいたいなって思っていましたが、まさかそんな子だったなんて……。 もちろん許されざる行為ですけど、親という立場からみると非難出来ない自分がいます……。 娘もショックを受けており、しばらくはそっとしておいてもらいたいです」 M.Mさんの母・A.Mさん(43)の談話 |
「ずっと息子のことが好きでした。 好きで、好きで、好きで……それ以外何もありません。 たとえそれが親子であったとしても……」 |
「僕はただ母さんを愛しているだけでした……。 ただ母さんと平穏に過ごせればいいのです。それ以上のことを望みませんし、それ以上の幸せはきっとないはずです……」 |