初日なのにフレンドリー
9話
「はあ」

家に帰ってきた途端に急激に疲れが押し寄せ、ベッドに倒れ込んだ。一点を見つめ、今日あったことを振り返ってみる。とはいえ今日は優子のために一日尽くしていため振り返ることはそれだけだった。 考えている途中に瞼が重くなり零斗はそのまま眠ってしまった。

口元に何か柔らかいものを感じる。零斗は、目をあけた。
目の前に珠理奈がいて自分はキスをされていたのだった。

「お兄起きちゃった?」

「起きちゃったじゃねえよ。もっとマシな起こし方があるだろ」

「んーない!」

珠理奈は唇に人差し指を当て考える素振りをしていったがその間僅か2秒ほどだ。

「ないのか。お前は俺に何を求めてんだよ」

呆れ気味に言うと珠理奈は腕に抱きついて零斗を見つめる。

「そりゃあエッチでしょ」

「は?」

言っていることが良くわからなかった。聞き違えであって欲しいと願った。

「珠理奈はお兄とエッチしたいの」

「エッチってさお前そういうのは彼氏とやれよ」

「いないし好きなのお兄だけだし」

「カッコイイ奴いるだろ?生歩とか光矢とか」

「確かに生歩君はかっこいいけど性格に問題あるしサイダーは運動できて頭もいいけどスケベだし 」

「そうか」

そんなやつらに珠理奈は渡せないなと思ってしまった。まあとにかく珠理奈にはこのブラコンをどうにか治してほしい。そうしないといつしか一線を越えてしまうのではないかと不安で仕方がない。
零斗は珠理奈の頭を撫でた。

「珠理奈。初めては好きな奴にあげろ」

「でもお兄がいいの」

「だめだ。俺達は兄弟だ。一線を越えることは決してあっちゃいけない」

分かって欲しい。これは珠理奈のためを思って言っているのだ。

「うんごめんね変なこと言ってさ」

「別にいいよ」

珠理奈は2人を兄妹にした神を憎んだ。
零斗は珠理奈のことを思うと胸が痛んだ。珠理奈がより強く抱きついた。そのまま零斗は電気を消して布団に潜り込んだ。

鬼灯 ( 2014/06/14(土) 17:57 )