第四章
第六十九話
「あら。来たのね。思ってたより早いかも。」

「なんで…麻里子様が…」

そこにいたのはつい先日卒業したばかりの篠田麻里子だった。

「なんで?ってここは私の地元でしょ?帰って来たのよ?」

「いやいや! だからってこんなところに来ないですよ!」

指原は動揺しつつも理由を探るため必死に喋っていた。

「俺からも聞こう。なぜここにいる?」

「あら。初めてあった人に挨拶もできないなんて佐江はどんな教育してるのかしら。」

篠田は話を逸らすかのように霊大と話す。

「いいから…!なんでかって聞いてるんだよ!」

「もう。そんな短気な男の子は嫌われちゃうぞ。宮澤霊大くん。」

そう言って右手を前に伸ばした途端、篠田は霊大の横にいた。

「!?」

「じゃあね。霊大くん。また会えるはずよ。」

霊大の肩に手をポンと置き、階段の方へと歩いていった。

「あ、そうそう。その先に芽瑠ちゃんと美桜ちゃんがいるから。助けてあげな。」

「待てよ!あんた一体…どっちなんだ…?」

「ふふっ…いずれわかるわ。」

そう言い残し篠田は去っていった。

「麻里子様は一体…」

「まだわからない。それにあいつも力を持っているのは間違いない。敵なら倒す。それだけだ。」

「あの…そろそろ行きましょ?」

若田部に言われ、さらに奥に向かった。

奥へと向かうとロープで縛られ、傷だらけになっていた田島と朝長がいた。

「芽瑠!美桜!」

指原はすぐさま2人に駆け寄った。2人は朦朧とする意識の中で指原の呼びかけに答えた。

「…さ…っしー…?」

「喋っちゃダメ!2人を早く病院へ!」

そう言われ村重は携帯で救急車を呼ぼうとした。

「ダメだ…圏外…」

「とりあえず上に行こう。そっから連絡すればいい。」

すると近くから音が聞こえだした。

「なんだ…この音…」

すると朝長が…

「ば…爆弾が…」

「爆弾!?」

「そうよ。その爆弾が爆発したらこのドームは木っ端微塵だと思うわ。」

声の方を向くとそこには森保、宮脇、兒玉の3人とボロボロになった谷がいた。

「谷!」

「ううっ…すいません…」

「まさか谷が煙を操る力だったなんて。苦労したわ。」

「くそっ…タイミング最悪だぜ…」

「さぁ。みんなまとめて死んでもらいましょう。」

「待って!」

森保が戦闘態勢に入ろうとしたとき、指原が声をあげた。

「なによさっしー。命乞い?」

「もうこんなことやめようよ!みんな一緒に頑張ろうって言ってきたんじゃん!」

「なーに?今更お説教?何回も言うけどそいつらが私たちにとっては邪魔なの。最悪そいつらが死んだら私たちはOKなの。わかる?」

「それじゃダメなの!HKTはみんなで1つなの!」

「あーもう。わからない人だなぁ。うるさいしあんたも死になよ。」

森保は指原に向けて銃を構えた。

■筆者メッセージ
あと2話くらいで終われると思うのですが…

麻里子様の登場です。敵か味方か。わからない悪女感が麻里子様にお似合いかと笑
BASARA ( 2014/03/16(日) 18:11 )