第五十二話
NMBでの事件から1週間が経ったがニュースはNMBのことで埋まっていた。
メンバーの死。メンバーと支配人の失踪。という見出しに世間からのグループに対する印象はどんどんと落ちていった。
一方霊大は博多へと向かうために東京駅のホームにいた。
戸賀崎とは電話で話をしてNMBのことは説明した。霊大は次は博多だと予想し、戸賀崎に博多行きを願いでた。
「ったく…おせぇよ。」
霊大はホームで誰かを待っているのかイライラしていた。
「はぁ…はぁ…すいませ〜ん!遅くなりました!」
息を乱しながら走ってきたのは指原だった。
博多での仕事がある指原と一緒に行くようにと戸賀崎から言われていたのである。
「遅い! 俺は待つのが嫌いなんだ!」
「す…すいません…トイレ混んでて…」
「はぁ。まぁいいよ。とりあえず乗ろうぜ。」
「はい。」
2人は新幹線に乗り、席についた。霊大は寝ようとしたが指原が話しかけてきた。
「あの…」
「なに?」
「その…噂になってる事件っていうのは本当なんですか?」
指原もやはり事件のことが気になるようだ。
「お前も狙われた側だろ? ならわかるじゃん。」
「そうですけど…」
「HKTは子供がいっぱいなんで…その…不安というか…」
「ちゃんと心配してるんだな。」
「当たり前です! 大切なメンバーなんです! こんな指原を受け入れてくれたメンバーなんです! たとえ指原が死んでも…」
指原は自分が起こした問題で移籍してきたにもかかわらずそんな自分を受け入れてくれたメンバーに本当に感謝しているのであった。
「そんなに背負い込むな。今度こそ誰も傷つけないさ。」
「ほんとですか?」
「って言ってまともにできてないから絶対とは言えないけどな。頑張るよ。」
「お願いします。指原もなんか手伝えることがあったら手伝いますから。」
「助かるよ。さ、疲れてもダメだから寝て休もう。」
「そうですね。おやすみなさい。」
そういって2人は眠りについた。
その頃・・・
「わかってる?失敗したら死が待ってるってこと。」
「わかってます。あんなおばさん達より若い子の方ができますから。」
「そういってできない子が多いのよ。あなたたちグループに少し失望しかけてるんだから。」
エリザはその少女に向かって少し呆れた顔で話しかけた。
「本当に大丈夫ですから。任せてください。」
「そう。空回りしないようにね。じゃあ。いい報告期待しているわ。」
そう言い残しエリザは消えた。
「へへ。力が手に入った…これであいつも…へへへ。」
不気味に笑う少女は殺意に満ち溢れていた。