第三十一話
しかしそこに立っている少女は鳥の羽とクチバシをつけていた。
「も、もしかして…高柳か…?」
「はい! なんか1人で散歩しに行って帰ってきたら誰もいなくて…探し回ってたらなんか声がしたんできてみたらこんな感じで…」
「そ、そうか。でも助かった。それにしてもお前その格好は…」
「あぁ。これですか?これね私の力なんです! 鳥になれちゃうんですよ!私もう嬉しくて嬉しくて!」
鳥好きの彼女だが自分が鳥になれたことに感激してテンションがおかしなことになっている。
「まぁ。なんにせよこれでメンバーはなんとか大丈夫だな。松村!他のメンバーを避難させてくれ!」
「わかりました!いくよみんな!」
そういって彼女たちは部屋をでた。
「もうちゅりさん余計なことしてくれるなぁ。でも私の力は通じないし、阿弥ちゃん。ちゅりさんも石化させてよ。」
「はーい。じゃあちゅりさんこっち向いてくださいね〜」
柴田と高柳は向かい合うが高柳は一向に石化しない。
「なんで!?なんでちゅりさん石化しないのよ!?」
「それはね…私がいるからよ。」
高柳の後ろから声が聞こえた。
「杏奈! お前なんでここに?」
そこには入山が立っていた。
「なんでって…あんただけだと無茶しそうだから。オフだったし見にきたのよ。そしたら案の定だもの。」
霊大は何も言い返せなかった。
「さて、とりあえずあいりちゃんをっと…」
そういって入山は古川に触れ石化を解いた。
「あ!やっと動けた! よかった〜。」
「杏奈! 俺のも頼む!」
「はいはい。待っててね。」
入山は霊大に近づくがそれを2人が簡単に許すはずがない。
「させないわよ!」
木本が風船を膨らませ道を塞ぐ。
「邪魔しちゃダメよ!」
高柳はすぐに自慢のクチバシで風船を割った。
「やるじゃん高柳。」
霊大に褒められてドヤ顔をしていた。
「さぁ霊大。元に戻ったよ。」
「サンキュー杏奈。お前きてくれなかったら終わってたわ。」
「今度買い物でも付き合ってよね。」
「ご飯で勘弁してくれ…」
「ダーメ。この貸しは大きいよ?」
笑いながら入山は言う。霊大は助けてもらった身なので何も言えない。相変わらずこいつは苦手だと霊大は改めて思った。
「さて、犯人退治といきますかね。」
「はーい。」