第三十話
その瞬間木本の身体が膨らみ霊大を圧迫しようと近づいてきた。
「なるほどな。やっぱり風船が力だったわけか。」
「そうよ。これが私の力風船の美学(バルーンアート)よ。」
「それで偽物の大場を作ったわけか…」
「正解。さて、みんな避難しないと窒息死しちゃうよ?」
不敵に笑う木本は身体中から風船を作り出し他のメンバーを圧迫させようとしていた。
「まぁ私としてはみんな死んでくれてもいいんだけどね。キャハハ!」
「くそっ!させるかよ!…足が…動かない…!?」
メンバーのところへ行こうとしたが霊大の足が珠理奈のように石化していた。
「ふふっ。霊大さんはじっとしててね?」
「柴田ぁ…!てめぇ…」
「私の石化する眼(メデューサ)の力で霊大さんは石化しますからね?」
「これで珠理奈を石化させたわけか…」
「当たりです。でも霊大さんは全部石化させませんよ。そうしたら私とお喋りできないでしょ?」
そう言いながら柴田も不敵に笑っていた。
「早くしないとメンバーが…」
霊大の目の前では他のメンバーが苦しいのか悲鳴をあげている。
「良い悲鳴だわ! キャハハ! もっと苦しんじゃえば良いのよ!」
そのとき木本を視線の先にいた古畑と中西が消えた。
「え!?どういうこと!?」
「花音!悪いけどみんなを避難させてもらうよ!」
そこにいたのは古川愛李だった。
「愛李さん…邪魔するんですか? というか愛李さんも力持ってるんですね…」
「そうね。私の描かれた家(スケッチハウス)は別空間に違う家を作りそこに人を移動させることができるのよ。」
「あいりん!助かった!」
「貸し1ですよ? とりあえず他のメンバーも移動させ…」
古川が言い切ろうとしたとき古川は石化した。
「愛李さん邪魔しちゃダメですよ。」
柴田がすかさず古川を石化させた。
「阿弥ちゃんナイス。これで移動できなくなったね。」
「厄介ですからね。さぁ花音さん続きしましょ。」
「そうね。あ、そうそう。霊大さんも気になってるみなるんさんだけどね。」
「そうだ。大場はどうした!」
「霊大さんの推理どうりみなるんさんには犯人になってもらうために別の部屋に閉じ込めてるの。風船が徐々に膨らむ部屋でね。」
「それって…」
「そう。早くしないとみなるんさんも死んじゃうよってこと。」
目の前では他のメンバーの危機。そしてどこにいるかもわからない大場の危機。霊大は足が動かない状況で頭を振り絞った。
すると…
"パァン!!"
その音と同時にメンバーを圧迫していた風船が割れた。
「な、なによ! 何が起きたのよ!」
その時、扉の所に1人の少女が立っていた。