第十五話
一歩ずつ…一歩ずつ…入山は霊大に近づいている。
「杏奈…目を覚ませ!」
「無駄よ。私の力は気絶するかあんたの力を使うしか解けないんだから。」
「霊大を…殺す…」
入山には霊大の言葉は届かず霊大に向けてナイフを突き刺した。
が…入山が刺したのは霊大ではなくその横の壁だった。
「ど、どういうことだ…」
自分の力で支配していたはずの入山が命令を無視して動揺していた。
「だから言ったよな?力持ってんのはお前だけじゃねぇってよ!」
「ま、まさか…」
「すいませんね。麻友さん。あたしの力"無代償"(ノーリスク)は基本的になんでも無効にします。だから麻友さんにその命令を受けた時点で演技させてもらいました。」
入山は渡辺の方を向きそう説明した。
「くそっ…まぁいいさだったら私が直接やるから!」
そういってナイフを取り出した。
「まとめて殺してやるよ!」
渡辺はそのまま霊大達に向かってきた。
「だから…悪いけど女に負けるほど弱くねぇっての!」
そういって霊大は渡辺の足をかけそのまま背中に衝撃を与えた。
「ふぅ。とりあえず一件落着ってところか…」
気絶する渡辺を見て一息ついた。
「そうね。でもまさか麻友さんだったとわ…」
「色々あったんだろう。それにしても杏奈。お前が来たときは少し焦ったぞ…」
「私だってドキドキだったよ! でもとりあえず演技しとかないとって思ってさ」
「まぁそれで助かったよ。とりあえずこの状況がバレると厄介だ。手伝ってくれ。」
「わかった。」
2人は気絶している5人を部屋の椅子に座らせた。まず最初に起きたのは戸賀崎と指原だった。
「う…ううん… あれ?俺は何を…」
「きゃあっ!戸賀崎さん!」
「な、なんだ指原どうした?」
「どうしたって…戸賀崎さん覚えてないんですか?」
「うん…まったく…」
霊大は2人に事情を説明した。
「そういうことだったんですね…まさか麻友が…」
「うーん。これはどうしたものか…」
「とりあえず起きたら話を聞くしかない。」
その後小嶋とスタッフが起きて2人には今日見たことを黙ってもらうことを約束した。
その時、今回の犯人である渡辺が起きた。