ホントの恋を見つけるまで
1章
3話
帰り道、太郎は七瀬と2人で帰路を共にしていた。



一緒に歩いている2人の話題は、転校生の生田絵梨花の事だった。


太郎「健太の奴、生田さんに、変なことしてなかった笑?」

七瀬「めっちゃ質問責めしてたで笑?」

太郎「ったく、あいつホントに女子にはチャラチャラしてるよな」

七瀬「あっ、でもまいやんがちゃんと生田さんの事守ってたで」

太郎「何か想像つくなぁ」

思い出したように
太郎「でもさ、麻衣と健太って結構お似合いだよな」

空を見上げてながら言うと
七瀬は急に大声を出した。

七瀬「えぇ!?太郎知らないの?」

太郎「は?何をだよ。」

七瀬「嘘…、ホンマに知らないんや……。」

七瀬の反応を見る太郎はキョトンとしている。

七瀬「まいやんなぁ、健太のこと好きなんだよ!クラスのみんな知ってるで?」

七瀬がさらりと言ってのけた答えは、太郎にとって驚愕の事実であった。



太郎「…………はっ!?何だって!?それはなんと言うか……奇跡じゃないか。
ていうか、クラスのみんなは知ってんのかよ…」

七瀬「えっ!太郎知らなかったん?てっきり知ってると思ってた」


健太の幼なじみであり、彼の事を良く知っている太郎は、これまでにあのチャラチャラとした軽い感じであるため、女子に好かれた事の無かった健太が、超美人で社交的な性格で多くの男子から高い好感を得ている白石麻衣が想いを寄せている事知り、驚きが隠せない様子だ。

太郎「……マジかよ、麻衣みたいなマドンナ的な存在が、健太のことを……」

七瀬「ななも奇跡やと思ったけどまいやんは本気やで笑」

他人の恋愛事情を話して笑みを浮かべている七瀬を見て、太郎はふと頭に思い浮かんだ事があった。

太郎(そーいやー、今朝、麻衣が七瀬には好きな人がいるって言ってたなぁ)



七瀬「あれ、どないしたん?」

言葉を発さなくなった太郎の目の前に手をちらつかせて七瀬は、横から声をかける。

太郎「いや、何でもない。」

七瀬「ふーん。そうかそうか、なるほどね〜。」

七瀬は太郎の反応を見て何かを理解したかのように口角をつり上げた。

太郎「何だよ?」

まさか七瀬に自分の心の内が読まれたのかと、気味悪そうに太郎は七瀬の顔を見る。

七瀬「太郎も彼女欲しいやろー」

しかし七瀬による太郎の心の読みは外れていた。

太郎「いやいや、全然そんな事思ってないし。」

そんな七瀬に太郎がからかうように言ってみせると、彼女の表情が一瞬だけ曇った。

七瀬「ふーん、そうなんや…」

太郎「てか、七瀬の方はどうなんだよ?今朝、麻衣が喋ってた本命の人。笑」

実は七瀬は半年ぐらい前に、1人の男子生徒と付き合っていると噂になった事があり、太郎がその事を触れてやったが七瀬は大きく首を横に振って反論するのだった。


七瀬「違う!ななには今別に好きな人がおるのっ!」

からかってくる太郎に七瀬は若干怒り気味で、言い聞かせるようにそう言った。

太郎「うぉっ!そう怒るなよ。
でも好きな人出来たんだな。」

七瀬「うん…出来たって言うか、もう長い事片思い中なんやけど…」

頬を赤くしている七瀬に太郎は微笑みを見せ、七瀬の肩をそっと叩く。

太郎「なるほどな、まぁ頑張れ!七瀬がそんな事言うなんて初めてだな、おれが応援してやる。」

七瀬「………ありがと。(やっぱり気付かへんよね、もう鈍感男。)」

七瀬の頬はさらに赤くなり、それを隠すために彼女は下を向いてしまった。

だが太郎は七瀬の言う好きな人が自分だと言う事には全く気付く事は無く、マイペース思考に考えていた。

太郎(帰ったら、風呂入って寝よ。)


一方自分の気持ちに気付いて貰えなかった七瀬は、もう自分から伝えるチャンスを作るしか無いと、意を決していたのであった。


家に着いた七瀬はベッドうえで

七瀬(やっぱり、ウチが正直に言わへんと太郎には伝わへんか…)

七瀬はもっと積極的に太郎に近付ける方法を考えながら眠りについた。

つづく

よっちん ( 2017/12/30(土) 00:19 )