02
麻友side
「りっちゃんがあんなに急いで帰るの、初めて見たよね?」
「あぁ、ほんとどうしちゃったんだアイツ」
終業式からの帰り道、高校に入って早いうちに友達になった向田優斗と一緒に歩いていた。
優斗の言う通り、一緒に2年を過ごしてきた友達として心配になるほど今日のりっちゃんは変だった。
「明日から春休みだけどさ、ちょっと見に行ってあげたら?」
「うーん、そうしたいんだけど、花音の引っ越しのお手伝いしなきゃいけないからさ…」
「花音? あぁ、いとこの?」
「うん、荷物多くて大変そうなの。 それと、街の案内もしてあげなきゃいけないし…。」
「あぁ、そうか。じゃあ俺からメールでもしてみるわ。」
「私からも、メールしとく」
「おう。じゃ、また今度な」
「うん、バイバイ」
このときはまだ、ただの友達だった。