01
李奈side***
私はとても焦っていた。
終業式が終わるや否や一目散に家に向かって歩いた。
今、この一瞬でも時間が勿体ないような気がした。
どうしてこんなに焦っているのかは私にもあまり分からなかった。
家に入るとドンドンと階段を踏み鳴らし、自分の部屋の扉を閉めた。
ーー○○塾 春期講習無料招待…
ーー△△予備校 新3年生歓迎キャンペーン…
机にたまった封筒を片っ端から開いていった。
「どの塾に行けばいいんだぁ…?」
塾は塾でも、様々な特徴があるようで、なにがなんだか分からなかった。
「ちょっと、そんなに急いで、どうしたの?」
ただいまも言わずに2階へ上がっていった私を心配したお母さんが続いて部屋に入ってきた。
「あっ、お母さん! 私、塾に行きたい!」
「ふーん、そういう気になった?」
「えっ…? どういう意味? 」
「そろそろ言い出すんじゃないかと思って…、う〜ん、ここがいいんじゃない?」
お母さんはチラシを見てすぐにこの塾を挙げた。
「秋葉塾?」
「そうよ? あんたには個別授業の方が合ってるわよ。 宿題とかはなんだかんだやって行くタイプでしょう?」
「う〜ん、わかった。 明日行ってみる。」
少し迷ったが、きっとお母さんが言うならきっと間違いない。
そう思った私は信じて疑わずに秋葉塾に決めたのだった。