第1章/春休み〜蕾たち〜
04
匠side


今日も朝から、僕は塾で自習をしている。
もうすぐ時計の針は、正午を指し示すところだった。


「匠くん、今日も朝からお疲れ様。
そろそろ一度休憩したら?」

「いえ、まだまだ早いですよ…」

「いやいや、そんなこと言ったって集中力は持たないもんだ。 外の空気吸って、仕切り直した方がいいよ」

「それもそうですね…」


室長は僕が思う限り、間違ったことを言ったことはなかった。
室長に背中を押され僕は休憩をすることにした。

飲み物でも飲んでこようか、小銭を財布から取りだして、すりガラスの扉を開く。


ゴンッ!

「痛っ!」

「えっ? あっ! 大丈夫ですか…?」


扉の後ろには見たことの無い、とても可愛らしくて、同い年のように見える女の子が尻餅をついていた。
どうやら中を覗いていたらしく、扉を開いた時に頭をぶつけたようだ。


「イタタタ…、すいません…」

「いえ、こちらこそ…。 それより、この塾に何かご用ですか?」

「はい! 頭がよくなりたいんです!」

「はあ…。 そういうことでしたら、どうぞ」


ぺたんと地面に座ったままの彼女に手を差し出すと、少し驚いた様子で、僕の手を掴んで立ち上がった。

扉を開くと音に反応した室長がこちらを見て、キョトンとしていた。


「匠くん、その子は?」

「あぁ、なんか"頭がよくなりたい"みたいで…」

「そうか。 じゃあとりあえずこちらへ」


室長と彼女が談話室に入るのを見送り、改めて僕は外に出た。

■筆者メッセージ
次にやりたい作品のコンセプトや登場人物が決まってきました。
この小説をどのように進めて行くかが定まっていないので次作の開始は未定ですが、この作品に行き詰まったら始めてみようと思います。
出してほしいメンバーなどいましたら、是非感想、拍手メッセージの方へお待ちしています。
Utopia ( 2014/02/21(金) 23:30 )