03
「ただいま〜」
「麻友さん、おかえりなさい。遅かったですね?」
「うん、片付けとかがあってね…」
「そうですか。あっ、夕飯作ってみたんです!けど…、すぐ食べます?」
「うん、そうする」
「わかりました。じゃあ、準備しますね」
じゃあ、ここで私の諸事情を少し説明しておきましょう。
私は渡辺麻友。
桜江高校の2年生で、来月から3年生の、いわゆる新3年生ってやつ。
そしてこちらは来月、桜江高校に入学する、のんちゃんこと木本花音。
私とは従姉妹で、あんまり会ったことは無いけど昔からの長い付き合い。
私は高校と自宅とが少し遠いという理由で、親からお金を出してもらって小さいアパートで暮らしていて、今年から、花音もこの学校に入学すると聞いて一緒に暮らすことになった。
「はーい、できました!」
「うわぁ、美味しそう!」
目の前には花音が好きな餃子が入ったスープ餃子が可愛い器に入っていた。
「のんちゃんって、こんなに料理出来るんだね」
「知らなかったですよね? 家では家事とか、よくするんです」
「ふぅん…、すごい美味しい!」
「そうですか? 良かった」
花音はニコニコしながら、私が食べるのを嬉しそうに見ていた。