プロローグ/3月〜卒業式の忘れ物〜
03
「ただいま〜」

「麻友さん、おかえりなさい。遅かったですね?」

「うん、片付けとかがあってね…」

「そうですか。あっ、夕飯作ってみたんです!けど…、すぐ食べます?」

「うん、そうする」

「わかりました。じゃあ、準備しますね」


じゃあ、ここで私の諸事情を少し説明しておきましょう。

私は渡辺麻友。
桜江高校の2年生で、来月から3年生の、いわゆる新3年生ってやつ。

そしてこちらは来月、桜江高校に入学する、のんちゃんこと木本花音。
私とは従姉妹で、あんまり会ったことは無いけど昔からの長い付き合い。

私は高校と自宅とが少し遠いという理由で、親からお金を出してもらって小さいアパートで暮らしていて、今年から、花音もこの学校に入学すると聞いて一緒に暮らすことになった。


「はーい、できました!」

「うわぁ、美味しそう!」


目の前には花音が好きな餃子が入ったスープ餃子が可愛い器に入っていた。


「のんちゃんって、こんなに料理出来るんだね」

「知らなかったですよね? 家では家事とか、よくするんです」

「ふぅん…、すごい美味しい!」

「そうですか? 良かった」


花音はニコニコしながら、私が食べるのを嬉しそうに見ていた。

■筆者メッセージ
花音の話し方がぎこちなくなってしまいました。
本来の上下関係のイメージが消えなくて…。
次回からその辺も上手く無くしていきたいと思います。

※本文を一部変更しました。
Utopia ( 2014/02/16(日) 12:29 )