04
「今だって簡単にできちゃうよ?やってみる?」
そう言うと堀は唇を近づけてきた。
"キスなんてただの粘膜の接触"
誰かがそう言ってた気がするけど、僕はそうは思わない。
「え、遠慮しときます…。」
「せっかくのチャンスだったのに。まぁいいや、じゃあテスト頑張ろうね〜。」
堀は手を振りながら帰っていった。
危うくあっちのペースに飲み込まれるところだった。いや、すでにもう飲み込まれているかもしれない。
家に戻ると玄関に靴が一足増えていた。
ドタバタと足音が聞こえ、やがて玄関にたどり着いた。
「おにぃの部屋からなんか香水の匂いがするんだけど。もしかして女子連れ込んだの?」