09
「聞きたいことがいっぱいあるんだけど〜いきなり核心に触れさせてもらうね?なんで井上さんの気持ちに応えてあげないの?」
堀は帰りながら聞いてきた。
僕はつい立ち止まり、考えてみる。
もちろん想ってくれてるのは嬉しい。だけど…
「僕でいいのかなって思っちゃうんだ。井上は優しいし気配りができる子だから自分以外にお似合いな人がいるんじゃないかって…。」
「ふーん、じゃあ井上さんが取られてもいいってことなんだ。」
えっ…取られる?僕が目が泳いだのを堀は見逃さなかった。
「動揺してるよ?大丈夫?少なからず井上さんは君の心の中にはいるんだね。」
「…はい。まちがいありません。」
認めざるを得ない。1つ、堀に弱みを握られてしまったようだ。
今度は僕の番だ。
「堀はなんで僕のことを知ってるの?」
こっちも真っ向勝負だ。
「…好きだからだよ?」