02
「ねぇねぇ、隣のクラスの美月ちゃん、サッカー部の先輩と付き合ってるらしいよ?」
「ほんとに?」
「やばいよね。さすが美月ちゃんだよね!」
そんな声が女子から聞こえてきた。
季節は5月中頃
ほら、やっぱり色めき立ってる。
僕はその声が聞こえないようにbeatsのヘッドホンをつける。
邪魔されない世界、それが何より心地いい。
朝のHRまではまだ時間がある。ひと眠りでも始めようと思ったとき、ツンツンと肩をたたかれた。
「おはよ。今日も相変わらず眠そうだね。」
クスクス笑いながら話しかけてきたのは隣の席の井上小百合だ。
「おはよ。ほっといてくれ。」
「もう!せっかく話しかけてあげてるのに!」
「ごめんごめん。あ、数学の宿題やってないから見せて?」
「見せてあげない!!」
彼女は感情の起伏が激しい子だ。