第1章〜それは夏の仕業〜
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「好きな人のことはなんでも知りたくなる。当たり前のことじゃないかな?」


確かにそうだろう。好みの服や共通の趣味を見つけたりして会話を深めていくものだ。



でも堀の言葉からは、そういった類のものが感じられない。なんか…こう…狂気じみたもの…を感じる。


僕は一歩、堀から後ずさった。



「どうしたの?なんか変なこと言ったかな?」



「い、いや…なんでないよ。そ、それよりテスト勉強は進んでる?」


「それがね、ぜんぜん進んでないんだよね。だから焦ってるんだ〜。」



本当に焦っているのか、それとも余裕があるのか、よく分からない。


「あ、そうだ!この週末、君の家で勉強会しようよ?ね?」


…しまった。余計なことを言ってしまった。


「え…本当にするの?」


「だめなの…?」

堀は上目遣いで見つめてくる。そんなの断れるはずもなく…


「わかった。」


勉強会が決定した。しかも二人きりで。


「じゃあ私、こっちの道だから。今日はありがとう!」


そう言うと堀は僕をぐいっと引き寄せ


「私のこと好きになってもいいよ?」


■筆者メッセージ
これにて一章終わりです。次からは二章に入ります。
ザウバー ( 2019/03/09(土) 22:20 )