奈和「会長、これからみんなで、まどかちゃんのお祝いするんですけど、一緒に行きませんか？」

玲奈「私もいるんだけど」

奈和「ごめんなさい。会長だけ誘ってるんで」

　和哉だけを誘う奈和に少し怒りを向ける玲奈。そんな二人の声は和哉の耳に届かず、和哉の興味は視線の先の人物に向いていた。

和哉（あ〜、理事長ホントに観に来たんだ。で、愛人と一緒か？何かあった時にあのスケベジジイを脅すネタができたな）

　理事長がコンクールを観に来ると本人から聞いていた和哉は、まさか理事長が愛人と一緒に訪れるとは思わず、脅迫ネタができたとほくそ笑む。

奈和「会長、何を見てるんですか？」

玲奈「もしかして･･･あの女の人ですか？」

和哉「ん、何？」

　玲奈と奈和が和哉の視線の先を見ると、理事長は既にタクシーに乗り込み、愛人と思われる女が一人。玲奈と奈和は頬を膨らませていた。

奈和「会長、何を見てたか」

玲奈「詳しく話してもらいますからね」

和哉「こんな時だけ仲良くなるなよ」

　玲奈と奈和に両脇を固められ、言い訳すらできそうにない状況に、ため息を吐くしかない和哉だった。

玲奈「さ〜、行き･･････」

？？「玲奈ちゃ〜ん」

玲奈「きゃっ･･･何？」

　不意に抱きつかれた玲奈は、パニック状態になる。

玲奈「ちょっと･･･止めてよ」

？？「ん〜〜やだ〜〜」

玲奈「も〜珠理奈止めてよ〜〜！」

　珠理奈と呼ばれた少女は、人目を気にすることなく、玲奈の顔中にキスをしていく。

咲子「玲奈ちゃんが嫌がってるでしょ、珠理奈止めなさい」

珠理奈「お姉ちゃんのケチ〜〜〜」

　珠理奈の後を追いかけるように咲子が現れ、珠理奈の暴走を止める。