3話
順位が貼り出されてから最初の土曜日、和哉は遥香とデートのために、駅で待ち合わせしていた。約束した時間を三十分過ぎても、遥香は現れない。待ち続けている和哉は、道行く女性から声を掛けられ、何度もナンパされていた。
ナンパが一段落すると同時に、眉をひそめる遥香が現れる。
遥香「お兄ちゃん、楽しそうにしてたね」
和哉「遥香が中々来ないから、ずっとナンパされてたんだぞ」
遥香「ごめんなさい」
ナンパされていた原因が、自身が遅刻したせいだと言われ、遥香は素直に謝る。
和哉「それより・・・・・・寒くないか?」
遥香の服装は季節を二・三ヶ月先取りし、夏の装い。和哉は冬服、季節感がまるで違っている。
和哉とデートすることを母親に知られると、母親は嫌がる遥香に夏の装いをさせる、他の女に獲られたくなかったら、誘惑しなさいと言って。そのお陰で遥香は遅刻してしまった。
遥香「お兄ちゃん、寒くて・・・恥ずかしいから、どこか行こ」
夏の装いの遥香は、周りから好奇の視線で見られ、俯いている。
和哉「遥香は、どこに行きたい?」
遥香「う〜ん、お兄ちゃんに任せる。お兄ちゃんと二人きりになれて寒くないとこがいい」
以前は、待ち合わせてすぐに、ファミレスに入ったが、今回は誰にも見られず、寒くない所をリクエスト。和哉が思い付くのは、一ヵ所しかない。遥香にジャンパーを着せると、手を繋ぎ、引っ張っていく。
和哉「ここでいいか?」
遥香「うん」
和哉が連れていったのはラブホテル。顔を赤らめ、恥ずかしそうにしながらも、和哉と共にホテルに入っていく。
遥香「お兄ちゃん、寒くなかった?」
和哉「こうすれば、すぐに温かくなるだろ?」
遥香「・・・・・・うん」
遥香がジャンパーを返すために脱ぐと、和哉は遥香を少し強めに抱き締める。お互いの体温ですぐに二人は外の寒さを忘れる。
遥香「お兄ちゃん・・・・・・」
和哉をしばらく見つめると、遥香は目を閉じる。その意味を即座に理解した和哉は、遥香にキスをする。