2話
学年末テストが終わった数日後、その順位が貼り出され、多くの生徒が、その順位を確認しようと集まっているが、誰もがいつもより一喜一憂していた。
遥香「お兄ちゃん、一緒に見て」
二年生野球部員(祐介)の結果を見ようとした和哉だが、人混みをかき分けて現れた遥香に腕を掴まれ、一年生の順位表の前まで連れていかれる。
遥香「お兄ちゃん、私何位?」
怖くてまだ見ていないのか、遥香は順位を訊ねてくる。和哉も遥香の順位を確認しながら、奈々や未姫・真子の順位も見ていく。
和哉「七位か・・・」
遥香「本当?」
和哉が七位と呟き、笑顔で順位を確認すると、そこに『島崎遥香』の名はなく、有ったのは『岡田奈々』。ぬか喜びした遥香は落ち込んで俯く。
奈々達の順位を思わず、口走ってしまい、遥香が落ち込んでしまい、未姫と真子の順位を確認すると、それは口に出さない。
和哉「遥香、よく頑張ったな」
遥香「えっ?」
和哉「63位だよ」
和哉から順位を告げられると、遥香は満面の笑みを和哉に見せる。大幅に順位が上がったこともだが、和哉に誉められたことが、遥香を笑顔にさせた。
和哉「俺も順位見てくるかな」
遥香「あの・・・」
和哉「あ、ご褒美はまた今度な」
遥香「うん」
和哉が約束を覚えていると分かると、遥香は嬉しそうに教室に入っていく。遥香の姿が見えなくなると、和哉も順位表を見に行く。
和哉「あった、あった。断トツの最下位か」
自身の順位よりも、先ずは祐介の順位を確認。祐介が最下位がなったことで、野球部は一年間の部活停止処分が決定した。
「岡田、頼む。部活停止だけは無かったことにしてくれ」
順位表を見ている和哉の前に、元宏が現れ、土下座をしてまで、部活停止処分にしないよう頼む。
和哉「みんな、見てるから止めろよ」
「頼む、この通りだ」
和哉が止めても、元宏は土下座を続け、諦めない。
和哉「悪いな、約束だから、それはできない。ほら、立てよ」
元宏の頼みを断り、手を差し伸べ、立ち上がらせる。微かな可能性を掴むために、プライドを捨て、土下座までした元宏の願いを叶えてやりたいと思った和哉だったが、それ以上に祐介のことが嫌いなため、元宏の頼みを承諾しない。