鬼畜な生徒会長の一年


























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16章 部費争奪戦編
7話
 これまでの二打席で、和哉を抑えた祐介は勝利を確信し、三打席目に臨む。それとは対照的に、元宏は和哉が本当に運動音痴なのかと、疑っていた。野球部レギュラーであっても、祐介のストレートを簡単にカットできない。一打席目に、それを簡単そうにした和哉を疑うのは当然のことと言えた。

和哉「負けてやろうか?」

「どういうつもりだ?」

 三打席目が始まる前に、和哉は元宏に八百長を持ち掛ける。和哉の心意を掴みかねている元宏は、すぐに問い掛ける。

和哉「勝っても負けても、部活停止処分は変わらないだろうからな。アイツは絶対に百位以内にも入れそうにないだろ」

「・・・・・・・・・・・・確かに」

 元宏は十位以内、六人のレギュラーは六十位代から七十位代、七人のレギュラーは九十位代から百十位代と、頑張れば何とかなりそうだが、祐介だけは、百五十人中、最高位でも百四十六位と、勝負で和哉に勝ったとしても、少し頑張った位では、八十位以内に入れそうにない。
 だが、今から約二ヶ月あれば、何とかなるかもしれない、そう考えた元宏は、祐介が余計なことを言って、和哉を怒らせる前に、八百長を受けようとする。

「わか・・・・・・・・・」

「チンタラするなよ!三球三振にしてやるから、さっさとバッターボックスに入れ。俺が勝ったら、部活停止処分無しだからな」

 元宏が八百長を受けようとした瞬間、祐介が余計なことを言ってしまう。

和哉「辻、やっぱりさっきのは無しな。悪いけど、勝たせてもらう」

 和哉はすぐに機嫌を損ね、怒りを浮かべた表情で、バッターボックスに立つ。球技大会であれば、必ずアウトが取れるバッターなのだが、今の和哉に言い知れぬ恐怖を感じる元宏。
 元宏は外角低め、ストライクからボールになるスライダーを要求。祐介は渋りながらも、元宏のリードに従う。

「カキーン」

 祐介が投げたスライダーは、元宏のリードより甘くなり、和哉はそれをフルスイング。打球はセンターの遥か頭上を越え、スタンドイン。勝負は和哉の勝利となる。

COM ( 2016/03/01(火) 00:02 )