1話
真子「お兄さん、あけましておめでとうございます」
和哉「あ、真子ちゃん。あけましておめでとう」
真子「一緒に初詣に行きませんか?」
家に着くと、玄関前で真子が待ち構え、年始の挨拶の後、和哉を初詣に誘う。
和哉「俺は今、初詣から帰ってきたんだけど」
和哉はそれほど信心深いわけでなく、むしろ神や幽霊等、自身の眼で見たことがない物は信じていなかった。初詣に麻友を誘ったのも、麻友が外出するための口実にさせるためだった。
真子「良いじゃないですか。それとも、未姫とデートはできても、私とデートはできないんですか?あーぁ、未姫が羨ましいな〜、お兄さんとデートできて」
和哉「わかったよ、一緒に初詣に行くから、少し静かにしてくれる?」
玄関前で騒ぎ、拗ねる真子を宥めるために、和哉は一緒に初詣に行くことにする。そんな和哉の心理は真子に見抜かれ
真子「嫌そうですね?」
それだけ言うと、真子は和哉に背を向け、しゃがみこむ。
和哉「俺、神とか信じてないから、神社とか嫌いなんだよな。石段とか多すぎるし。真子ちゃんとデートならいつでも大歓迎だよ」
真子「本当ですか?初詣とか良いんで、デートしましょう」
真子の機嫌が直ると、玄関のドアノブに触れることなく、踵を返し、真子につき合い、デートに行く。
真子「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
和哉とデートで、上機嫌だった真子は、街を歩くほど、拗ねていた。開いていて空いているのはコンビニとファミレス。混雑しているのは、福袋を売っているデパートで、真子が和哉と行ってみたいと思っていた店は閉まっていた。元日だから当然と言えば当然だが。
真子「お兄さん、神社に行きましょう」
初詣には行かなくていいと言っていた真子もあっさり前言撤回し、和哉の手を引っ張り、神社に行く。
真子「ここに名前を書いてください」
恋愛成就の神社に着くと、真子はさっそく絵馬を買い、和哉に名前を書かせる。今いる神社が恋愛成就の神社だとは知らない和哉は、真子に言われるまま、絵馬に名前を書く。
和哉「真子ちゃん、何て書いた?」
真子「えーっと・・・・・・見ないでください」
和哉に見せないよう奉納し、お詣りを済ませると、神社をあとにする。
真子が書いた絵馬には『永遠に愛し合えますように』と書かれていたが、それを和哉が見ることはなかった。
ある程度、真子がデートを満喫し、満足すると、やっと家路につく。
真子「今度は未姫より長〜くデートしましょうね」
次回のデートの約束をさせられて。家に入ると、玄関では和哉と一緒に初詣に行こうと目論んでいた奈々が、体育座りで拗ねていた。
奈々の機嫌を直すために、奈々が眠りに堕ちるまで、和哉は『奈々、愛してるよ』と言わされるはめになった。