鬼畜な生徒会長の一年


























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9章 生徒会合宿編
6話
 冬休みに入り、早速合宿のために玲奈・由依・麻友の三人は秋葉学園職員駐車場に集まる。

由依「集合時間、十分過ぎてんのに会長と麻里子様が来てないってどういうこと?」

 集合時間を過ぎても和哉と麻里子は姿を現さず、玲奈達は更に待ちぼうけをしていた。

由紀「あれあれあれあれ〜、もしかして置いていかれたんですか〜?」

 待ちぼうけしている玲奈達の前に大きな鞄を持った由紀が現れる。

由依「うっさいわ!アンタこそ何しに来たんや」

由紀「私ですか?私は岡田君に呼ばれて来たんです。合宿の手伝いをしてほしいから十時に職員駐車場に来てくれって」

 麻友から生徒会合宿をすることを聞いていた由紀は、和哉に頼られたことを誇るようなどや顔を見せる。

玲奈「もう十時半だけどね」

 三十分の遅刻を指摘されると、由紀はどや顔を止め、誤魔化すように辺りをキョロキョロと見回す。それから更に三十分、未だに和哉と麻里子は姿を現さず、玲奈達は諦めて帰ろうとする。

麻友「あの車、危ない運転ですね〜」

由依「ホンマや。あんな危ない車、乗りたくないな」

 一時間待っても和哉と麻里子が姿を見せないため、玲奈達が帰ろうとすると一台のワンボックスカーが駐車場に入ってくる。そのワンボックスカーは秋葉学園所有の物だが、先ほどから植栽に当たり続け、ボディーは傷だらけになっていた。

玲奈「あ、こっちに来てる」

由紀「逃げないと・・・」

 身の危険を感じた玲奈達は由紀の一言で逃げ出そうとするが、ワンボックスカーは停止し、運転席のドアが開く。

麻里子「早く乗りなさい!」

 遅くなったことを謝罪せず、玲奈達に乗るように促す。玲奈達は有無を言わさない迫力に圧され、静かに乗り込む。

由依「会長はどうしたんですか?居てないみたいですけど」

麻里子「先に電車で行ったよ」

 和哉が一人先に行ったと聞いて、玲奈達は溜め息を吐き、肩を落とす。

麻里子「失礼だと思わない?公道で絶叫マシンに乗りたくないとかって」

麻友「絶叫マシン・・・・・・」

 麻里子が運転するワンボックスに和哉が乗らなかったのは、低速であっても事故を予感させる運転を繰り返し、安心できなかったから。

麻里子「他の二人も死にたくないとか助けてとかずっと叫んでるし。たかが大型トラックと正面衝突しそうになったくらいで」

 麻里子の一言で車内はパニック。四人は泣き叫び、降りたいと喚く。

麻里子「降ろすわけ無いでしょ」

 車内は阿鼻叫喚の様相を呈したまま、合宿の目的地へと走っていく。

COM ( 2016/03/13(日) 00:00 )