第9章 キスと変わらないもの
06
試験も終わって
今日からいつもの生活に戻る


そんな朝に潤一からメールが届いた


[俺告ったから]



そんな短いメール


あれ、その先は?


いくら下にスクロールしても
無くてわずか6文字のメール


俺は歯ブラシを口に突っ込んで
鏡を見る



その鏡に映る俺は
仏頂面


文句なんかないけど



やっぱり気になるんだ


二人がどうなったかって



教室で目に入る
遥香の顔はいつもより
嬉しそうに見えて


なんかもう付き合ってるみたいな
気がする


でもたぶん、気のせいか
神経がおかしくなってるだけだ





その日の部活はきつくて

まずはずっと走り込みが行われる

それにいつもより
走っている気がする

そのあと行われた
4対4のゲーム



俺はでもいつもより
なんかイライラする
ただ潤一のことが気になって
シュートも入らなくて



ゲームの中でも存在感がまったくない

ドリブルもシュートもディフェンスも
パスも全部がダメで


さっきから俺の所で全部
チャンスをつぶしている


「三上、パスが遅いし
選択のスピードが遅い」


「うっす」


さっきから先輩たちからの
声がかかる


一方で相手のチームにいる潤一の動きが
いつもよりキレッキレに見えてしまう


ピーーー

ブザーが鳴り
休憩に入る


水を飲んで
そのまま壁にもたれかかる


「なぁ龍太今日
不調だなー」


「…………なんだよ」


「メール見た?」


「見たけど」


「そうか………」


「………」


そうかってそれで
とまるのかよ


「で?」


「やっぱ気になるんじゃん」


「別に」


「まぁまだ返事はもらってない
考えさせてって、でもたぶんうまくいく」


「そっか」





「三上、次ちょっと
外れて、中田代わりに入れ」

先輩の声が俺と潤一の方に届く



俺はゆっくりと立ち上がって
体育館を後にする


後ろで潤一たちの声がするが
俺は迷うことなく出ていく




その足はでもどこに行くわけでもなくて
ただ人のいない外の水道


俺は水で顔を洗う


外の冷えた水は
火照った頭の熱を下げた








■筆者メッセージ
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ライト ( 2016/01/27(水) 23:56 )