第6章 想い人
06
「おっはよー龍」


「…………」


「何だよ、その目は?」


「なんで、そんなにお前らテンション高いの?」


朝学校の門の近くで
潤一や谷など何人かのバスケ部のやつらに出会った


「何でって今日がバレンタインだから」


「ふーん、それでもらえた?」


「いや、まだだ、でもたぶん下駄箱とかに
入ってる」


「そっかーあるといいなー」


「やっぱり、お前いいやつだな」



俺がそのまま教室に向かって歩いていても
後ろからハイテンションな声が聞こえる
廊下にいる人たちはその声でくすくすと笑っていて
恥ずかしい



「あの、三上くん」


ちょうど階段を上がりかけて
一つ目の段に足をかけたくらいの時
俺の横にはまだ潤一がいて


「ん?」


「あの………これ」


そう言って渡された小さな紙袋
そして何も言えないまま走り去っていった
先輩


「おい、これチョコレートじゃねーか」


「…………そうだな」


「裏切り者だなお前は」


「なんでだよ」


潤一はそのまま
大きな足音を立てて階段を上がって行った




ライト ( 2015/12/28(月) 00:04 )