第6章 想い人
02


「なぁ龍太可哀想だな」


「なら、手伝えよ」


俺の手の中には
大量に積まれたノート
俺たちのクラスのノートと隣のクラスのノート


今日の授業の罰として
太田から与えられた迷惑



それを見て笑う噂をかぎつけた
潤一


「でもお前すげーよ
太田の授業で大胆に寝るとわな」


「あーうん」


「おい、あれなんかやばくね?」


「ん?何が?」


潤一は顎で
窓の方を示した

そこには何人かの女子と
齋藤飛鳥がいた


三階の廊下から少しだけ見えた
その集まり


でも楽しそうに話している感じはしなくて



「あれって、いじめ………ってやつか?
でも女子はこえーな」

遠くから一瞬だけ見えた
齋藤は今にも泣きそうな顔だった


「ちょっと、わりー
これやっといて」


「え?ちょ龍
どこ行くんだよ?」



俺は気が付けば
廊下を走って、階段を駆け下りていた


周りの人やモノが
目に入らないほど走っていた




ライト ( 2015/12/20(日) 22:14 )