02
俺はそのあとゆっくりと教室に戻る
部活が始まる時間が迫っているのに
なんか今日はやる気がなくて
教室の椅子に座って窓から
外を眺める
うちの学校はサッカー部が強くて
全国大会にも行ったことがあるくらいに
だから窓から見ていても
気合が入っていて
1月の終わりの寒さにも
負けないくらい走り回っている
「あれ?龍くん?」
声がすると教室の前のドアの所に
遥香が立っていた
ジャージを着ていて
髪の毛をゴムで結んでいる
部活の時の服装
「違う」
「え?でも龍くんだよね?
まさか偽物?」
こんな簡単なウソなのに
真剣に考える遥香
「嘘だよ
どうしたんだよ、教室に用でもあんのか?」
俺は窓を見ながら
そう答えた
「うん、宿題机に入れたままだったの思い出して
それより……部活始まっちゃうよ?」
「うん………」
それでも動く気がなくて
外を見てると一歩一歩と音が
近づいてくる
「どうしたの?」
ドキッ
遥香は外を見ている俺の顔を
覗き込むような形で見てくる
でも思ったより顔と顔の距離が
近くて
夕日に照らされた顔が
まぶしく見えた
「いや、なんでもね
すぐ行くから先に行ってろ」
俺は遥香が教室から出ていくのを
見るとゆっくりと立ち上がって
教室をあとにした
ライト ( 2015/11/30(月) 19:36 )