第4章 君のための悪魔
01
「龍くん」


びくっ


後ろを見ると遥香がいて
ドアからこっちを見ていた


「懲りないなー島崎は」


「だってー」


昼休みの部室
俺はおいていた教科書を取りに
来ていて
誰もいない部室に2人きり


「そんなこといってるとまたやらかすぞ」


「でも呼んで行って言ったでしょ?」


「ええ?あーうん」


「でも、龍くんは私のこと
遥香って呼ばないよね?」


「呼ばねーよ」


「なんで?」


何でって逆に
理由あるか



「別に今までそう呼んでたし」


「………」


「今さら変えるのも」


「ふぅん」


彼女は不思議な存在だ
特別な感情はない


七瀬のような感情でもなくて
奈々未のような存在でもない



かといってほかのクラスの女子とは
違う感覚


「そういえば、七瀬が
この前ジュース持ってきたぞ」


「あ!試したんだ」


「島崎よくわかったな」


「え?」


「七瀬はあれだけ長い間いるのに
知らなかったのに」


「う………ん」


遥香は下を向いた



「ほかにも知ってるよ」


「………」


「龍くんのこと」


「バスケットシューズの色は絶対に黒だし」


「………」


「試合のアップの最初のときは
絶対に3ポイントをうつ」


「………」


「それに、フリースローの打つ前は
ボールを3回バウンドさせるの、あと」

俺のことを話す
その姿がこの前亮平のことを
話す七瀬と重なる気がした






ライト ( 2015/11/19(木) 22:48 )