第3章 ごめん………
05
「龍くん!」


「へ?」

部室で一人椅子に座っていた
俺はその声に振りい返った


部室のドアからこっちを覗く遥香は
なぜかにやけ顔で


「島崎……その呼び方やめろよな」


「え……?」


「さっきみたいに面倒なことになるぞ」


「ねぇ、さっきのみんなの顔面白かったね」


遥香は俺の注意が聞こえないのか
嬉しそうに話し始めた


「聞いてんのか」


「ごめん、聞いてるよ」


そういってキョロキョロ部室の外を見渡して
入ってきた


そして俺の横に座った



「でもいいでしょ?二人の時なら」


二人の時ならって
まるで付き合ってることを隠してる
カップルみたいだ


「…………」


「みんなの前では呼ばないから」


「…………」


「二人の時だけにするから」


俺は遥香の顔を見た



「ね?お願いー」


そういって顔を傾ける


「そんなカップルでもないのに」


「いいもん」


女子特有のお願いって言葉は
1つの武器になると思う



遥香の顔を見ながらそう思った

















ライト ( 2015/11/16(月) 18:17 )