05
「ああ寺田か……あいつなら心配いらない」
「心配いらないってどういうことっすか?怪我してるんじゃ」
「怪我?何言ってるんだ龍太、潤一」
「さっき親御さんから連絡あってな、いろいろあるみたいだが大丈夫だ」
きっと俺たちが複雑な顔をしていたからだろうか、太田は少しだけ申し訳なさそうな顔をして俺たちを見た
「悪いな、家の事情は詳しくは言えないんだ」
「ならいつ来るんですか?」
「うーん、二学期にはちゃんと来るから」
「………分かりました」
口ではそう言いながら全く納得しない俺たちは不自然に頭を下げて職員室のドアをガラガラと閉めた、学校が怪我を知らないってことに混乱した俺たちは廊下を歩き始めた
「どうやって探す?」
「どうやってでも探す」
潤一はそれ以上は聞いてこなかった、聞いたところで俺たちの頭では何も出てこないことって分かっていたから、そして諦めたように天井を見上げた
「あー、どっかでかわいい天使さんが耳元でつぶやいてくれねぇかなー」
「は?天使さんとかキモイこと言うな」
「いねーよなーそんなん」
「いたら、俺抱きしめそうだわ」
こんな廊下を歩くほかの人からしたら気持ち悪い話を神様は聞いたいたのだろうか、そう思ってしまわずにはいられないくらいのタイミングで起きた出来事、かわいいは置いといてその日の放課後にその天使は俺に大和の居場所を呟いた
その天使はその夜俺を駅前のカフェに呼び出した