第22章 嘘と真実
03


結局そのLINEによって俺はあの秘密の部屋に引き寄せられていた、隣にいる潤一に目配せをして俺たちはあの秘密の部屋に足を入れた



何時間前大和から送られてきたLINEには言葉ではなくスタンプが送られてきていた、それは笑っているスタンプ、最初はいたずらかと思ったがすぐに送られてきた写真に俺たちは息をのんだ


それは病院のベットに誰かが横たわっている写真、手前に移るのは点滴みたいなやつとその人物の頭と右腕には真っ白い包帯が巻かれていた、でもかすかに見える髪色と輪郭から大和に間違えなかった


「でも………これ大和からだよな?」


間違いない、これは誰かに自分の姿を撮らせて怪我をしたことを俺たちに知らせようと送ってきたのだろうか、そして俺たちはその謎を抱えたまま山本の待つ所に行ったのだ




「待ってたよ」


ピンと張りつめた空気をなでるような声、でも目の前に立つやつを見ると結局また空気は張りつめていく山本はしっかりと俺と目を合わせた後隣の潤一に目を向ける


「井上君もね」


「…………」


「そうだ大和の言うことは信じないほうがいい」


張りつめた沈黙を山本は破った、そういって2,3歩後ろの壁に寄り掛かった


「あいつは…ちょっと病んでるから」


狭い部屋を無造作に見まわして蔑むような目つきで俺たちを見る


「虚言癖っていうのかな?まぁ母親もイカレテルから遺伝なのかもね」


初めてかもしれない山本の口から大和の名前が出てきたのは心のどこかで冷静に思う反面大和のことを悪く言われてかっとなる自分がいる、でもそれが急におさまったのは横の潤一の腕がぴくっと動いたから


「あいつはそういうやつなんだよ」


「……………」


「口もうまいし人懐っこいでしょ?あの雰囲気にみんな騙されちゃうんだよ」


「…………」


「そんなだから中学の時は友達なんか1人もいなかったよ、まぁ結局引きこもって不登校だけど、この間もさ……」


「聞きたいことってなんすか?」


我慢できずに俺は口をはさんだ、途中で遮られたことで気を悪くしたのか山本は俺を見た、そしてあきらめたように壁から背中を離し俺たちにゆっくりと近づいた


「君たち何か聞いてるよね?」


「何かって?」


「大和から」


何かって普通だったら曖昧すぎて答えることなんてできない、でもそれが今は逆に確信を突く山本に知られてはいけない何かはいっぱい聞いたから、でも俺たち3人で話した何かに気付いていることは確かだ



いったいこいつは何に気付いている?


どうしてそれを知っている?



「もし聞いてるなら教えてくれよ………実は遥香が大和を怖がってるんだよ」


遥香が?


その名前に一瞬にして俺は全神経を奪われた


「なんで島崎が怖がるんすか?」


眉を寄せた潤一に山本は小さく肩をすくめた


「さぁどうしてなんだろうね、よく分からないけど大和が君たちに何かするんじゃないかって心配してるだから………力になりたいんだ


「ああ………もちろん君たちのためじゃない、遥香のためだよ」


大和が俺たちに何かするなんてそんな疑惑は浮上しないけど結局は遥香の不安の種を蒔いているのは自分自身だっていうのに一体こいつはどういうつもりなんだろうか


「別に何も聞いてませんよ、それに仮に聞いてたとしても先輩には言いませんよ、そんな簡単に友達を売れるわけないじゃないっすか」


「友達………ね」


高笑いした山本は俺たちにまた一歩近づいた


「たぶんそんなこと思ってないよ、大和は君たちのこと………ただの利用する価値はあるって思ってるだけだと思うよ」



感情がぐっとこみ上げつつも強烈なビームでもすぐに出してしまいそうなくらいの勢いでにらみつける潤一を見て自分を落ち着かせる


「教えてくれないならいいや、でも信用してどうなるの?、大和のことはもういいや、三上君にお願いがあるんだ」



急に名前を呼ばれた俺はタイミングを狂わされたようになった

















ライト ( 2017/03/13(月) 23:33 )