第19章 いらだちの罠
01
「三上君ごめんね、重くない?」


「大丈夫だよ」


6時間目の日本史の授業が終わったあと廊下、横でプリントを持っているのは生田絵梨花で、あの遥香と同じ強化指定生徒に選ばれた俺と同じクラスの吹奏楽部員


そしてついこの間の席替えで隣の席になってやっと初めて顔と名前が一致した、清楚なイメージがあったけど意外にもいつも元気でニコニコしている天真爛漫なようで人気も高いらしい、でも今の顔は少し困ったような顔だ。


それはさっきの日本史の授業中、日本史の田辺先生はいつもノート回収や授業中に使ったプリントを寝ていて人やぼーっとしていた人に持ってくるように頼む、そして今日は俺の横に座っていた生田さんがぼーっとしていたようでその役になってしまったわけで、そして女子1人は大変ということで横の席の俺に飛び火してきたというわけで、俺一人ならノートもプリントも全部持てるけど、私のせいなのに悪いと言う生田にプリントを持ってもらった


「そうだ今日の日誌どっちが書く?」


「あ、そっか今日私たちが日直か忘れてた………なら私が書く今日は迷惑かけたから」


「ホントに?ありがと、ならこれは俺が持っていくから先に教室戻って書いててよ、そしたら掃除もサボれるし」


「うん分かった、ごめんね」


社会科科目の先生がいる教室の近くの角で生田と別れて俺はそのまま教室に進んで入ろうとする、ノックをしても声が聞こえないからさっさと中に入ってノートを先生の机に置いて教室を出てしかたなく教室に戻ろうと振り返った時


「ごめん、ドア開けてくれるかい?」


その瞬間、その声を聞いた瞬間すぐにドキリとする、振り返った先にいたのは山本湊先輩だったから


「ありがと、最近遥香本当によく頑張ってるよ、選ばれたことでさらにやる気が出たみたいで」


持っていたノートを置いて教室から出てきた山本は俺に弾んだ口調でそう言った


今こいつには言いたいことが山ほどある、でもここで言葉を発したらまた感情が抑えれなくなるのが怖い



「遥香は張り切ってて、まぁ音楽の道に進みたいっていう夢は中学の時からだからなか」


中学のころ……それは俺の知らない3年間、それを誇らしげ言う山本は俺を挑発しているみたいだ、でも遥香の夢なのは確かなのだろう



「僕も去年参加して本当にいい経験をしてと思ってるよ、音楽だけじゃなく人としても、だから遥香にもそんな経験をさせてみたいって思わないかい三上君も」


「はい……俺も思ってますよ」


「本当に?」


山本はふっと俺をまた挑発するように笑う、さっさと帰ろうと背をむけようとする俺の体は山本の口から出た言葉に止まってしまった


「ならさ三上君………理事長の約束守ってくれるかな?」












ライト ( 2016/10/22(土) 00:08 )