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ずっとこうしていたいけどこのままだと遥香が苦しそうだから俺は両手を緩める、遥香は2,3回息を整えた、俺はそんな遥香の頭をくしゃっとなでた
「ごめんな」
「ねぇ、どうしたの?なんだか笑っているのに悲しそうなんだもん」
俺が拾い上げて遥香の上でまた仕事を再開しだした遥香の折り畳み傘は満足げに仕事をしているように見える、その傘はパサパサとさっきより大きな音をたてて雨をはじく
こんな小さな変化にも気づいてくれる遥香に嬉しい気もするし、こんな時はいつもより厄介に感じる
「そうか?」
遥香の手を引っ張って屋根のあるベンチの所まで移動する
「だって龍くん隠すの下手なんだもん、今もずっと悲しそうな顔をしてるよ、この公園に入った時から」
悲しそうな顔になるよ、どこからか突然やってきたこの手に俺の遥香はさらわれてしまう、でもその手を握ってしまえば遥香が悲しんでしまうから。でもここでこんな話をすれば遥香のことだから今すぐに学校に戻って理事長の所に行くだろう、だって奈々未の所に聞きに行ったくらいだから
でも今行くことであの理事長は遥香の推薦を取り消しにしてしまうかもしれない、だから伝えることなんてできなくてまた自分に嘘をついてしまう
「なら俺のこと慰めてよ」
「しょうがないな、あれでしょまた太田先生に怒られたんでしょ?授業中寝てたとか」
「まぁそんなとこ」
「もう!ダメだよ………ならこれあげる」
遥香の手から俺の手に渡るコロコロとした四角い物体、その正体は俺がよく食べている抹茶キャンディー
「これ龍くんがいつも食べてるでしょ?最初はあんまり好きじゃなかったのにいつの間にか気にいっちゃった」
遥香にもらったキャンディーを口に入れる、遥香も鞄から1つ取り出してお互い雨をなめ始める、今日のこの雨はいつもより遥香にもらったせいか数段甘く感じる、コロコロ舐めていくと形を変えながら小さくなって溶けてなくなりそうになる
この関係がずっと続いたらいいのになんて思う、ずっと同じ気持ちで同じ愛情を50%ずつもっていけたらいいのになんていう理想。でも俺は欲張りだから遥香よりプラス1%だけ51%君のことを想っていたい、こんなこと遥香に言ったらずるいなんて言われると思うけどちょっとでも君のことを想っていたいんだ
「龍くん帰ろっか?」
遥香は折り畳み傘を開いて俺に持ってと言うと遥香の手は空になる、その1つの手は空いている俺の腕に向かうと嬉しそうに腕に絡ませまた笑顔になった