03
「なぁ龍太さんよ、学校ではイチャイチャしないんじゃなかったのかね?」
部室のロッカーの逆側から半分だけ顔をのぞかせる潤一は恐怖すら感じる、今日はこいつに邪魔ばっかりされてる気がする、昼寝の邪魔をされ着替えの邪魔もされ
「てかさなんでお前は覗いてたんだよ」
「覗いたんじゃなくてたまたま廊下通ったら見えたんだよ」
ロッカーの扉から半分だけ顔を出している潤一はニタニタした顔でこっちを見る、これ以上遥香とのことについて触れてほしくないから別の話に切り替える
「どうでもいいけどよ、いつもお前ってなんで部室の時パンイチでうろちょろするかな、服着ろよ、この部室向井地も入るんだしよ」
潤一はゆっくりと自分の体を見て、いい体してるだろと見せつけてくる、やっぱり今日の潤一はいつもより面倒くさい
「大丈夫だよ向井地なら、あいつなら部室の龍太以外が裸で、龍太だけ服着てたとしてもお前のことしか眼中にないだろ」
「なんだよそのシチュエーションおかしいだろ」
そんなくだらない話をしていると部室の戸の向こうからノックの音がして向井地が顔をさっきの潤一みたいにのぞかせる、そしてキョロキョロと部室の中を探す、ふとみた潤一はTシャツで上半身を隠す姿に吹き出しそうになる向井地は俺と目が合うとパッと表情が明るくなって俺の所まで来る
「先輩今日もシュート練習しますか?しないんだったらモップかけちゃいますけど」
「あーごめん、今から行くからもう帰っていいよモップはかけとくし」
「本当ですか………なら私先輩がシュート練習するの見てます!」
「マジでつまんないよ、会話とかもしないし帰った方がいいと思うけど」
向井地は俺の所まで来てニコッと笑う、引き換えに潤一の顔は一気に無表情ぽくなって服を着替える
「大丈夫です先輩のシュート練習見てて気持ちいんですよ、どんどんシュート決まるから」
「はぁー分かったよ、じゃすぐに行くから」
はいとニコッと笑いながら返事をして部室を出ていく、相変わらずの向井地の俺へのアタックにため息が出る、部室の中はさっきまで結構いたのに今はもう5人くらいしかいなくなっていた
「相変わらずモテるね龍太くんは、島崎もいるのに向井地にも手を出してマネージャーキラーだなお前」
「うるせぇよ、俺は遥香だけだよ、じゃ俺行くからまた明日な」
おうとだけ言う潤一を置いて俺は椅子に置いていたバッシュを持って体育館に向かう途中、体育館の入り口が見えたくらいで校門の近くに人を見つけ俺は声をかけた
「先輩………傷大丈夫ですか?」