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「ぜんぶ………?」
いつものようにきょとんとした遥香の顔はほんの一瞬だった、すぐに遥香は俺から1歩後ずさる、どうやらこんな時に限って言葉の意味にピンときたようだ
「遥香が好きだから………俺のものにしたい」
その言葉が一瞬にして遥香のスイッチを切り替える
「いいよ………」
「…………」
「龍くんがそうしたいなら………」
音もなく静まり返った水面に、一滴のしずくが落とされて行くようにそしてその波面に伝わるように俺の耳に届いた
このまま時間がたてば、遥香は俺の物になる、そんなこれからの未来を考えただけで、息苦しさを感じるくらい胸が高鳴った、今まで俺の中に閉じ込められていた何かが音け出すように
「本当に……いいの?」
遥香のほほに手を当てて下向き加減の瞳を俺の目に向けさせる、すると1人だけ突っ走ってる俺の瞳に不安そうな感情の遥香が映る
いいのって俺の方だろ
「うん…………」
頬にあてた手に伝わるわずかな震えが伝わる、でも遥香は俺のことをゆっくりとっ見て頷いた、その途端柔らかな肌にすぐにでも触れたくなる気持ちが先走りそうになる、長いまつげにキラキラ光る瞳、真っ白な肌、ほんのりピンクになった頬、1つ1つの存在を確かめると心を奪われていく
そしてゆっくりと俺は遥香にそっと口づけをする、さっきまでのキスの感触がまだ少し残っている唇でその遥香の持っている不安な気持ちをなくす様にできるだけ優しく触れるだけのキスを繰り返す
唇に、頬に、おでこに、鼻先にこうしてゆっくりと大切に思う遥香を扱う中で、このキスの先をどこかでぼんやりと想像していた
本当に俺はこれでいいのだろうか?
熱に侵されるほんの隙間にまだこんなこと考える自分がいる、これで遥香は心から望んでいたのだろうか、その時俺の胸にことんっとおでこを預けた遥香は小さな声で俺の胸に響かせた
「龍くん」
「ん…………?」
「大………好きだよ」
突然の刹那的な言葉に感情の隙間を埋められる、そしてまた知らないうちに俺の心は遥香に撃ち落される、そして無意識に髪をなでていた手は肩へそして腕と滑っていき遥香の左手を握る
「俺の部屋に行こっか?」
「え?」
そう言いながら遥香のしなやかな真っ白な手の甲に口づけをする、そして手首そしてその内側にキスをしていく、それは目には見えない手錠をかけるように、目には見えないからこそ伝わる体温を感じながら