第15章 そのまま君で 
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「何?どうしたのこんな時間に」


「悪い、ちょっと聞きたいことがあってよ」


家に帰って自分の部屋に入るとそのまま電話で大和に電話をかけた、大和が電話に出たのはコールの8回目くらいの時


「ふーん、山本湊のことでしょ?」


「………」


「やっぱりか、いいよ」


何でか分からないけど電話越しの大和は俺からの電話の中身を知ってるように山本湊のことを話し始めた


「まぁそんなとこかな」


「ありがとうな」


電話を切ると一気に体の力が抜けていく、一気に軽くなるわけでもなく力は抜けていくのに逆に重くなる体はそのままベッドに倒れていく、すると俺の耳元のスマホが鳴る


そこに表示されたのは遥香の名前だった


一瞬でるかためらう自分がいた、昨日までの自分ならすぐに出ていたのに俺の心はやっぱり遥香のことを疑っているようだ



「もしもし」


「あっ、龍くん!ずっと電話待ってたんだけど……」


その言葉でさっきの自分のことを思い出した、電話するって言って忘れてた


「おう、ごめん」


「うんん、こっちこそごめんね」


「………」


遥香は俺の言葉を待っているけど俺の言いたいことは全部ためらってしまうことばかり


「ねぇ龍くん明日は一緒に帰ろうね」


「………おう」


「今日はまた何かしたの?井上君と」


「………」


「ふざけてたとか?」


「………」


「それかまた授業中に寝てたんでしょ?」


「………」


「あれ違うのか、ならうーんなんだろ」


電話越しの遥香の声はいつもと変わらない声、その声は俺が山本に対するイライラをまったく気づいてない声でこんな沈黙にも気づかない遥香に対してもイライラする、俺をバカにしてるのかって



いっそこの気持ちを遥香に言いたい、遥香にぶつけてしまいたい自分がいた



「なぁ」


「ん?」


俺はベッドに仰向けになりながら天井のライトを見ながらいつの間にか口を開いていた


「あの部長さ吹奏楽の」


「あっ山本先輩のこと?」




山本先輩か……
昼休みに会った時は名前で呼んでいたのに、そんなことがさらに俺のどこへぶつけていいか分からない怒りを大きくさせる


「あいつと、前に付き合ってたんだろ?」


そんなイライラをどうもできない俺は、そのまま口を止めることもできないまま遥香にぶつけてしまった、低く怒っている声全開で、そんなことが最低だって知ってるのに







ライト ( 2016/06/29(水) 22:11 )