第15章 そのまま君で 
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さっきはいなかったのに、お前いつの間にそこにいるんだよ
焦りと怒りと恥ずかしさが俺の頭の中で回る、どんな顔でいればいいか分からなくて無表情をつくる


山本は遥香に手に持っていた楽譜らしきファイルを見せる、そのたたずまいは大和に聞いた以上に王子だった、この前見た時には気づかなかったけど、小さな顔ときれいな指俺と同じくらいであんまり高くない身長、女子が騒ぐのも分かる気がする


「あとは、俺がやるから島崎はもういいよ」


「いいよ、私のパートだし」


そんな二人の会話が俺を通り過ぎていく、明らかに二人の間にいる俺は邪魔で、でもわざとどくきもない


「いいよ、あっそうだ忘れてた、さっき飯田先生が島崎のこと呼んでたんだった、職員室に来いって」


「え?本当に」


「うん」


「ありがとう、湊先輩」


「どういたしまして」

遥香にニコッと笑う山本湊
職員室に行こうとする遥香の腕を俺はつかむ、さっきってか今湊先輩って言った?
一瞬驚いた顔をした遥香は俺の腕をほどいた


「またね」


遥香が行ってしまうとそこには驚くほど静かな沈黙がやってくる、すると山本湊は俺の方に顔をむけた


「三上君だよね」


「………」


「やっぱり、君は噂通りかっこいいね、3年の間じゃ有名だよ、スポーツもできて頭も悪くないむしろいい方だそして何よりイケメンだって」


「………うっす」


「島崎とは本当に仲がいいね、うらやましいくらいだ」



さっきからこいつの言葉には感情がないみたいに冷たい言葉、うらやましく思っていないことがわかるくらいに


「じゃー、僕も失礼するよ、島崎とこれからも仲良くね」


そのまま俺に背を向けて背筋のきれいなまま歩いていくその後姿、さっき山本湊が俺に言った「これからも仲良くね」って言葉が俺の耳にはまったく逆に聞こえた、なぜだか分からないけど、あいつの言葉は俺への宣戦布告に聞こえた





ライト ( 2016/06/19(日) 23:38 )