第14章 色をなくした花
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「三上君、足なんだけど軽いみたいだから手術すれば1か月もかからないくらいで普通に歩けると思いますね」


「そうっすか」


「もう龍太、ちゃんと言いなさい、そうですねでしょ」


学校終わりに行ったこの前の病院の診察室、神妙な顔をした先生はレントゲンの写真を見ながら俺に伝える


「手術は来週くらいにしたいと思ってるんですけど、予定とか大丈夫ですか?、そしてそのあと、1,2週間くらい入院になるんですけど軽いリハビリもかねて」


2週間……入院か……
長いな……手術って痛いかな?麻酔きれたらどうしよう、リハビリって辛いかな……、それより相部屋変な人だったら屋だな……ナースは若くてきれいな人がいいな………まぁそんなこと遥香に言ったらまたブーブー言われるかな……


そんなことが頭の中に浮かんでくる、意外に落ち着いている自分に気づく


「はい……」


「先生よろしくお願いしますね」


「はい、なら手術の前の日から入院していただいて」


「はい」



「ならお母さん支払いすましてくるからここで待ってるのよ」


「分かったから、おとなしくしてるよ」


俺はロビーのソファーに座る、そしてスマホを取り出して登録している名前の中から、島崎遥香の名前を探すとメッセージを送る


入院することになって手術するって


このメッセージを送らなくても、送ったとしても遥香は絶対に心配そうな顔をする、だからあいつには心配をかけたくない、そんな顔を見たくないから俺は遥香の笑った顔が好きだから、まぁそんなことまた思っていたら遥香に怒られそうだけど……



帰り道母さんの車に揺られながらスマホを見ると遥香からの返信が来ていた、夕日に照らされて少し見えにくくなっているスマホの画面を手で隠して画面を見て少しにやけた


そこには


なら土曜日デートしよう
それとちゃんとお見舞い行くからね



という文章だけなのに、これから手術もあるのになぜかその文章を見ると遥香の顔が浮かんできた



ライト ( 2016/06/06(月) 21:46 )