第14章 色をなくした花
01
龍くんはモテる、そんなことはずっと前から分かっていた、分かっていたけど困る、いつか私の前からいなくなるようで


「遥香って、片思いしてるみたい」


「え?」


「だって、こんな遠くから彼氏を見てるなんてさ」


放課後、教室の前の廊下から美瑠と一緒に渡り廊下を歩いている龍くんを見ている、3階の窓から見える龍くんは1年生の女子と話している



「私、ストーカーみたい?」


「まぁとらえ方次第かな」


神様、私って龍くんの彼女ですよね?
そんなことも心配になる


「でも、三上最近変わったよね?」


「そうかな」


「だって、前はクールで話さなかったじゃん、でも今は寺田といるようになって、チャラくなった」


「寺田?」


「あの、茶髪ぽいチャラい奴いるでしょ」


あっあの人か、私は少し苦手なタイプだ


私は龍くんは今の方が龍くんらしいかな、でもいろんな女の子に優しくしすぎるのがあんまりよくない、だってみんな好きになるもん龍くんのこと





「島崎?」


その時一瞬だけ風を通り抜けるようなきれいな透き通ったこえが私の耳に届く、その声は私の記憶の中にある古い記憶をノックした




「久しぶり、ちょっと話せるか?」



何の声も出ない私の口が他人に操られているようで、しばらく声の方を見つめていた、周りは美瑠がじゃあねと言って廊下を歩いていくのが見えた




「いいかな?」


「………はい」


彼は笑顔を浮かべながらゆっくりと私の横に歩みよった












■筆者メッセージ
ここから少し遥香視点で進みます
ライト ( 2016/03/18(金) 00:02 )