第13章 愛しき君
05
廊下に出てみてももういなくて

あいつ足遅いのに、もしかして走ってたのかよ、そこで思い出す前に遥香が行こうと言っていた駅の反対側にある河原、そこは夕日がよく見えるらしくて遥香のお気に入りの場所らしくて、俺と見に行きたいって今日の朝言っていた

ちょうど、部活もフリーだからって、今ならまだ、遥香はそこの手前のコンビニらへんにいるかもしれない俺は、ダッシュで階段を飛び降りようとした


「三上先輩!」


ん?聞き慣れない声
振り返ると俺のすぐ後ろには小さな女の子が立っていた
見かけない顔だな、肩よりもも少し長い真黒なきれいな髪と丸くて大きな目
いわゆる童顔って顔で身長も低い、そして何よりスカートが短い

いいねぇー
先輩ってことは1年ってことか


その足2年だったらランク高いのに残念だ


「はい、何でしょうか?」


俺の声がしてその子は小さな体を折り曲げて頭を下げる


「すみません先輩、急いでますよね?」


「うん、ちょっとね手短にね」


「ありがとうございますあの、先輩」


「ん?」


「私先輩が好きです、バスケしてる姿もかっこよくて、付き合ってもらえませんか?」


わずかに心が痛くなる
遥香と付き合うようになってからそういう告白されるのがつらくなった


「ありがとう、でもごめん、気持ちだけもらっておくよ、俺今彼女いるから」


「ごめんなさい、彼女いますよね先輩なら」


彼女は下を向いてほほをピンク色に色づけた


「ねぇ、名前なんて言うの?」


「あっ、えっと向井地です、向井地美音です」


「向井地さんね、うん覚えた」


「ありがとうございます」


「これあげる」


そういって俺は上着のポケットから小さな包みをだした

「今、ブームの抹茶キャンディー」


「ありがとうございます」


向井地さんは小さく俺にニコッと笑う


「先輩、これからあいさつとかしてもいいですか?」


「ああ、いいよじゃあ」


彼女はキャンディーをもって会釈する、そして後ろにいた1年の女子らしき集まりの中に小走りで行く、俺は階段を下りて遥香を探しに駅まで駆け下りていくその後ろで、向井地さんは俺の方に顔をむけてふっと小さく笑った




ライト ( 2016/03/15(火) 23:00 )